ホーム>腸エキスパートにインタビュー

大腸の内視鏡は肛門から入れるのでしょうか?

先端に光源とカメラレンズなどがついた管を肛門から入れ、大腸が始まるところ(回盲部)まで届かせます。それを引き抜きながらカメラが撮影した画像をモニターに映し出し、1.5mほどの大腸の内部をくまなく観察します。病変がみつかると、その部分から組織を採取したり、病変全体を切除して悪性か良性かを確かめる病理診断なども行えます。

恥ずかしいのでできれば受けたくないのですが、受けないといけないのでしょうか?

全大腸内視鏡検査は、がんが疑われる病変の有無を目視しながら確認できるため、大腸がんの精密検査として第一に選択すべき方法とされています。大腸がんは、発生した場所によっては症状などだけからは判断できない場合があります。病変そのものを発見するためには欠かせない検査とご理解ください。また穴あきの専用パンツをはいて検査を受けることができますし、多くの患者さんが受けている検査ですので、恥ずかしいといったことは心配されないで下さい。

誰でも受けられるものでしょうか?

大腸がん検診で最初の便潜血検査が陽性となった方は保険が適応されます。そのほか、便通異常や血便などの症状がある場合も、診断や治療に大腸内視鏡を用いる場合には保険が適応されます。ただ、便潜血検査で異常はなく、症状もみられていない場合には、自費診療となることがあります。

いくらくらいかかるのでしょうか?

投薬、病理診断、処置の有無などによって違いがあります。保険3割負担の方ならば、何も異常がなければ5,000〜7,000円、組織の採取を行うと10,000〜12,000円がおおよその目安といえます。このほか、ポリープや明らかにがんとわかる病変をその場で切除する場合もあり、それぞれ保険に基づいた費用が加わります。

受けたことがある人から「痛かった」と言われたことがあるのですが、本当でしょうか?

大腸には構造上の関係から、不安定に動きやすい部分があります。そこに内視鏡の先端やシャフトが触れた状態で挿入を続けると腸管が引き伸ばされ、これが痛みの原因になります。もっとも最近は、そうした部分で腸管との接触を避ける挿入法が開発されるなどの対策も進み、以前に比べて苦痛はかなり軽減されつつあります。また大腸内視鏡になれていない医師が行うと大変苦痛のある検査となる場合があります。検査件数の多い上手な医師にかかるのも楽な検査を受けるのに重要です。手術後で癒着がある場合は、ベテランが検査しても痛みを伴う場合がありますがそのような場合は、麻酔を注射して、検査を行うことも可能です。

いきなり病院に行って受けられるものでしょうか?

消化管の内視鏡検査は、受ける方の体内の条件や環境を整えておくためにさまざまな前処置が必要です。通常、受診をしていきなり検査はできませんので、事前に検査日を予約し、十分に準備をして臨むようにしてください。またいきなり病院ではなく、内視鏡検査を得意とするクリニックの先生に相談するのが良いでしょう。治療が必要な場合は、小さい病変ならクリニックでもその場で治療可能なことが多いですし、入院治療が必要な場合は大学病院や、がんセンターなど専門病院を紹介してもらうことが可能です。

前の日に準備することはどんなことでしょうか?

内視鏡検査を行うためには、大腸内部をきれいにしておく必要があります。一般に、前日の夕食までは消化の良いものであれば、ふつうに食べても構いませんが、食事内容が指定されることもあります。特に便秘気味の方は食事制限が必要となります。就寝前には下剤を服用しますが、これも当日服用となる場合があります。方法は施設によって異なりますので、その手順にしたがってください。

当日に準備することはどういうことでしょうか?

検査が終わるまでは絶食となります。検査前には2リットル程度の腸洗浄液を飲むほか、腸内の洗浄が十分でない場合には下剤の追加投与などが行われ、直前には痛み止めや緊張をとる薬が使われることもあります。いずれも検査を滞りなく進めるために必要な処置と理解してください。

麻酔はするのでしょうか?

検査前に麻酔を使えば苦痛を感じることもなく合理的に思えますが、内視鏡医の腕が未熟な場合に強い麻酔をかけると、たとえば内視鏡で大腸が傷を受けた時にご本人が自覚できないなど、事故につながりかねません。
麻酔を使用するかしないかは、病院や検査医によって多少異なります。麻酔なしでも、上手な内視鏡医が検査をすれば全く痛みがない患者さんも多いですし、癒着のある方は、ベテラン内視鏡医でも麻酔を使用することがあります。最近は、患者さんの希望があれば、鎮静剤を静脈から投与して、検査対象者を浅い眠りに導く方法を使用することも可能です。事前に良く相談してみて下さい。

検査にはどれくらい時間がかかるのでしょうか?

内視鏡を入れ始めてから20分程度で終了するのがふつうです。もっとも、対象者の状態によって、挿入を慎重に行う必要がある、病変の組織を採る、病変そのものを切除するなど対応に差が生じますので検査にかかる時間はさまざまと考えてください。

検査にはリスクはないのでしょうか?

大腸内視鏡検査も他の医療行為と同様に100%安全ということは言えず、頻度は非常に低いもののいくつかの偶発症が起こる可能性はあります。重篤なものとしては腸壁や血管を傷つけることによる出血、腸管に穴が開く穿孔などが知られていますが、観察だけでそのような偶発症が起こることは稀です。ポリープや早期がんを治療する際に、そのような出血や穿孔といった合併症が起こる可能性はありますが、技術と機械の進歩で、偶発症のリスクはかなり少なくなってきています。
検査を受けている途中で違和感や痛みが生じた時には、躊躇せずただちに医師に伝えてください。
 ポリープを切除した場合は、治療後7〜10日間は出血などの危険性があるため、その間は、旅行、スポーツ、お酒の摂取などは控えるようにして下さい。またポリープを切除するかどうかは、検査を受けてみるまでわからないことが多いので、検査前に医師に確認しておくと良いでしょう。

狭くて入らない、痛みがひどいなどということはあるのでしょうか?

内視鏡は、病変の発見精度の高さや検査と治療までが行える利点、さらに挿入の技術が向上したこともあって、大腸がん検査の主流になりました。しかし、挿入が極めて困難な事例はあり、たとえば過去に開腹手術や婦人科手術を経験した方で大腸に癒着がある場合などでは、内視鏡を通過させることが難しくなる場合があります。そのような場合には細径や柔らかい内視鏡を使用します。それでも検査が完遂できないような場合には、大腸カプセル内視鏡や、CTコロノグラフィーの適応となります。

何か見つかったときはどうなるのでしょうか?

内視鏡の大きなメリットの一つが、器具を使って病変から組織を採取できる、あるいはその場で病変自体を切除できる点です。切除法にはポリープを取り除くポリペクトミー、早期がんと思われる病変を粘膜下層ごと切り取る内視鏡的粘膜切除術(EMR)、2cm以上の表面型早期癌でEMRにて対応できない場合に適応となる内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)(入院が必要)があります。こうした技術によって検査、診断、治療が同時に可能となっています。

ポリープをとるときは痛くないのでしょうか?

ポリペクトミーは、粘膜上から盛り上がった組織を、内視鏡を通じて送り込んだ輪で縛るように確保し、電気を通して焼切る方法です。ポリープは多くは良性ですが、成長するとがん化するものがあるため早めに切り取ってしまうことが得策です。なお、大腸粘膜には痛みを感じる神経はないため、通常痛くありません。痛みがある場合はスネアが筋層を巻き込んでいる可能性があり、穿孔のリスクとなりますので、内視鏡医にしっかり伝えて下さい。

何もなければもう検診を受けなくてもいいのでしょうか。

検査編でも触れた点ですが、どんなに優れた検査法でもがんを100%みつけることは困難です。またそのときに何もなくても年齢を重ねることで、新たにポリープや癌が発生する危険が高まります。検査の結果、何も異常がなくても大腸がん検診は受け続けていただきたいと思います。大腸がんは進行が通常、比較的遅いがんですので、隠れていた病変が検診を受けるうちに明らかになることも考えられます。