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あなたの大切な大腸を守るため、大腸に関する基本情報をご紹介します。

大腸の主な病気と検査方法

大腸の主な病気

感染性腸炎

細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体が腸に感染してさまざまな消化器症状を引き起こす病気です。多くは食品や飲料水をとおして経口的に病原体が体に入りますが、一部ペットやヒトからの感染もあります。食品や飲料水を媒介とする感染はしばしば集団発生がみられ、これを食中毒といいます。

過敏性腸症候群

腸の検査や血液検査で明らかな異常が認められないにもかかわらず、腹痛や腹部の不快感を伴って、便秘や下痢が長く続く病気です。以前は過敏性大腸といわれていましたが、小腸を含めた腸全体に機能異常があることがわかってきたため、過敏性腸症候群と呼ばれるようになりました。
この病気は、日本を含む先進国に多い病気です。日本人では10~15%に認められ、消化器科を受診する人の3分の1を占めるほど、頻度の高い病気です。発症年齢は20~40代に多く、男女比は1対1.6で、やや女性に多くみられます。便通の状態により、便秘型、下痢型、交代型の3つに分類されますが、男性では下痢型、女性では便秘型が目立ちます。

虫垂炎

虫垂に可能性の炎症がおこる病気です。虫垂は、盲腸(右下腹部の小腸から大腸につながった下の部分)の先に突き出た5~10cmほどの先端が閉じた突起物で、長さ6~8cm、太さは鉛筆程度です。虫垂は、リンパ組織が集まっているため、免疫に関与するともいわれていますが、少なくとも成人では不要と考えられている臓器です。
虫垂炎は、一般には「盲腸」あるいは「盲腸炎」という通称で知られていますが、これは昔、虫垂炎の発見が遅れ、炎症が盲腸まで広がった状態で発見されたケースが多かったためです。急に激しい腹痛を訴え、外科的な治療を必要とする病気を総称して「急性腹症」といいますが、虫垂炎はそのなかでも最も頻度の高いもので、15人に1人が一生に一度この病気にかかるといわれます。虫垂炎の発症のピークは10~20代ですが、小児や高齢者も含めてどの年齢層でもみられます。男女差はありません。
虫垂炎は適切に治療されれば予後のよい病気ですが、治療しないまま放置しておくと、虫垂は破裂し、細菌を含んだ腸の内容物が腹腔内に漏出して膿瘍(感染によるうみがたまったもの)を形成したり、腹膜炎を起こして命取りになることもあります。また、細菌が血流に乗って全身に広がると敗血症(菌血症、敗血症、敗血症性ショック)になり、命を脅かすこともあります。実際、かつては死亡率が60%以上もある恐ろしい病気と考えられていました。

腸結核

結核菌が腸に侵入し、炎症を起こして潰瘍を形成する病気です。腹痛、下痢、発熱、体重減少などがみられますが、症状があまりはっきりしない場合もあります。結核というと過去の病気と思われがちですが、決して減少しているわけではありません。抵抗力の落ちた高齢者や糖尿病、腎不全などほかの病気をもっている人に多く発症します。

潰瘍性大腸炎

大腸粘膜が炎症を起こしてただれ、びらんや潰瘍を形成します。症状は粘血便、下痢、腹痛などです。20~30代の若年成人に多く発症しますが、50~60代の人にもみられます。いったんよくなったように見えても、数カ月から数年後に悪化することがあります。 もともと欧米人に多く日本人には少ないと考えられていましたが、最近、日本でも急速に患者数が増えています。

クローン病

小腸、大腸を中心とする消化管に炎症を起こし、びらんや潰瘍を生じる慢性の疾患です。症状は、腹痛、下痢、下血、体重減少、発熱などです。20代に最も多く発症しますが、ほかの年代にもみられます。欧米に多く、日本では比較的少ない疾患ですが、最近患者数が増えています。潰瘍性大腸炎と似ている点も多く、2つをまとめて炎症性腸疾患と呼びます。

虚血性大腸炎

大腸への血液の循環が悪くなり、必要な酸素や栄養分が供給されなくなるために、大腸粘膜が虚血となり炎症や潰瘍を生じる疾患です。症状として突然の腹痛、下血がみられます。もともと血管に動脈硬化があるところに便秘などが誘因となって発症するといわれており、高齢者に多いのですが、便秘のひどい若い女性にも時にみられます。

腸閉塞(イレウス)

口から摂取した飲食物は、胃、小腸、大腸を通って消化・吸収され、便となって肛門から排泄されます。また、唾液や胃液をはじめとする消化液が、1日数Lも胃腸のなかに分泌されますが、これも小腸や大腸で吸収されて残りは便と共に排泄されます。
これらの食べ物や消化液の流れが小腸や大腸で滞った状態、すなわち内容物が腸に詰まった状態が腸閉塞です。腸が拡張して張ってくるため、おなかが張って痛くなり、肛門の方向へ進めなくなった腸の内容物が口の方向に逆流して吐き気を催し、嘔吐したりします。腸閉塞は、吐き気・嘔吐を伴う腹痛が現れる最も代表的で一般的な病気です。

大腸ポリープ

大腸の粘膜の一部がいぼ状に盛り上がったもの(隆起)で、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに大きく分けられます。 腫瘍性ポリープの大部分は良性で、腺腫と呼ばれますが、大きさが増すに従って部分的に小さながんを伴っていることが多くなり、それは腺腫内がんと呼ばれています。すなわち、腺腫の一部は放っておくと、がんになることがあります。腺腫が前がん病変とも呼ばれるのはこのためです。
非腫瘍性ポリープには、ポイツ・イェガース型ポリープ、小児に多い若年性ポリープ、高齢者に多い過形成性ポリープ(または化生性ポリープとも呼ばれる)、腸炎後にみられる炎症性ポリープなどが含まれますが、いずれも良性で、がんとは無関係です。

大腸ポリポーシス

ポリープが大腸全体に多数存在する状態とともに、大腸以外の消化管や全身の臓器にも異常を伴いやすい状態を指します。したがって、消化管ポリポーシスあるいはポリポーシス症候群とも呼ばれます。
後述するように種々の病気が含まれていますが、大腸ポリープの分類に準じて、腫瘍性と非腫瘍性に大きく分けられます。潰瘍性の大腸ポリポーシスには、家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス、ガードナー症候群とも呼ばれる)とターコット症候群があります。非腫瘍性のものには、過誤腫性(ポイツ・イェガース症候群、若年性ポリポーシス、コーデン病、結節性硬化症)、炎症性(炎症性ポリポーシス、良性リンパ濾胞性ポリポーシス)、その他(過形成性ポリポーシス、クロンカイト・カナダ症候群)が含まれます。
また、表に主なポリポーシスの特徴を示しました。腫瘍性および過誤腫性ポリポーシスに分類される病気はいずれも遺伝性があるので、まとめて遺伝性消化管ポリポーシスと呼ばれます。

種類 大腸ポリープ 上部消化管病変 消化管外病変 がん化 遺伝性
家族性大腸腺腫症

(家族性大腸ポリポーシス、ガードナー症候群)

腺腫 胃・十二指腸、
小腸
骨腫
軟部腫瘍
大腸

(ほぼ100%)

あり
ターコット症候群 腺腫 胃・十二指腸、
小腸
脳腫瘍 大腸

(ほぼ100%)

あり
ポイツ・イェガース症候群 過誤腫 胃・十二指腸、
小腸
色素斑 多臓器

(あり)

あり
若年性ポリポーシス 過誤腫 胃・十二指腸、
小腸
奇形 大腸

(あり)

あり
コーデン病 過誤腫 食道、
胃・十二指腸、
小腸
皮膚・粘膜の過形成 多臓器

(あり)

あり
結節性硬化症 過誤腫 皮膚血管線維腫
脳内結節
まれ なし
クロンカイト・カナダ症候群 その他 胃・十二指腸、
小腸、食道

(まれ)

脱毛、爪委縮、色素沈着 まれ なし

大腸憩室症

大腸粘膜の一部が腸管内圧の上昇により嚢状に腸壁外に突出したもので、大腸憩室が多発した状態を大腸憩室症といいます。憩室壁が腸壁の全層からなる真性(先天性)憩室と、筋層を欠く仮性(後天性)憩室に分けられますが、大腸憩室の大部分は仮性憩室で、比較的高齢者に多い病気です。
従来、欧米では左側の大腸(S状結腸)に後発するのに対し、日本では右側結腸に多いといわれてきました。しかし、近年の食習慣や生活様式の欧米化に伴い、日本でも左側大腸の症例が増えています。

吸収不良症候群

経口摂取したいろいろな栄養素、とくに脂肪の消化吸収が阻害された病態を指し、障害の程度や持続期間によって低栄養状態を来すことがあります。
このなかにはさまざまな病気が含まれますが、栄養素の吸収過程自体の異常に基づく原発性吸収不良症候群と、原因となる病気によって二次的に起こる続発性吸収不良症候群に大きく分けられます。日常の臨床では、後者によるものが大部分を占めています。

慢性便秘

大腸は、上部消化管で昇華・吸収を受けた後の残渣の処理と排泄を行う器官です。盲腸と上行結腸で、液状の内容物から小腸で吸収されなかった水分と電解質を吸収し、横行結腸、下行結腸へと送られ徐々に固形化されていきます。内容物の移送時間は食べた物の性状、腸管の運動や吸収機能、精神状態などで異なりますが、盲腸には4~6時間、S状結腸には12~16時間で達し、排便は一般的に食後24~72時間後に起こるとされています。
便秘とは、糞便が長い間腸管にとどまって水分が減少して硬くなり、排便に困難を伴う状態のことで、通常は便の回数の減少、便量の減少、硬い便、排便困難感、残便感があるときに便秘と呼ばれています。ひどい便秘で苦しんでいる人は約5%とされ、加齢とともに増える傾向があります。
慢性の便秘とは、旅行などで食事や生活環境が急に変化して起こる一過性の便秘ではないものを指します。

慢性下痢

1日に消化管に入ってくる水分の量は、経口摂取と分泌される消化液で約10Lです。そのほとんどが小腸で吸収され、糞便としては約0.1~0.2L排泄されます。腸管に流入する単位時間あたりの水分量(大腸の1日あたりの最大水分吸収能は5~6L)が、その吸収能力を超えると下痢になります。
下痢とは、便の水分量が増えて、液状から泥状またはそれに近い状態になったものとされ、慢性下痢の人は約3%とされています。症状が3週間以上続くときには慢性下痢といわれます。下痢は、その病態生理から、浸透圧性下痢、分泌性下痢、腸管運動異常による下痢に分類されます。

大腸がん

どんな病気か

大腸は消化吸収が行われた食べ物の最終処理をする消化管で、主に水分を吸収します。この部位に悪性腫瘍が発生した場合に大腸がんと呼びます。
大腸がんは食事の欧米化、とくに動物性脂肪や蛋白質の過剰摂取などにより、日本でも近年急速に増えていて、胃がんを追い抜くのは時間の問題といわれています。日本人では直腸とS状結腸に多く発生します。若年者の大腸がんでは遺伝的な素因もあるようです。

原因は何か

大腸がんの発生原因はまだわかっていませんが、疫学を中心とした研究から、大腸がんの発生は欧米食の特徴である高脂肪、高蛋白かつ低繊成分の食事と正の相関関係にあり、生活様式が強く関係していることが明らかになっています。また、大腸がんは腺腫(一般的な大腸ポリープ)からがんが発生するものと、腺腫を介さず直接粘膜からがんが発生するものが考えられています。
遺伝学的解析では、多くの遺伝子の異常の蓄積によりがんが発生することがわかっています。まずAPC遺伝子の変異により腺腫が形成され、ついでK-ras遺伝子の突然変異により腺腫が大きくなり畏型度(細胞の悪性度)が増します。それにがん抑制遺伝子のp53遺伝子とDCC遺伝子の変異が加わって、がんへ進むとされています。
また、遺伝的要因の明らかなものには家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)と遺伝性非ポリポーシス大腸がんがあります。

症状の現れ方

早期の大腸がんではほとんど自覚症状はなく、大腸がん検診や人間ドックなどの便潜血検査で見つかることがほとんどです。進行した大腸がんでは、腫瘍の大きさや存在部位で症状が違ってきます。
右側大腸がんでは、管腔が広くかつ内容物が液状のために症状が出にくく、症状があっても軽い腹痛や腹部の違和感などです。かなり大きくなってから腹部のしこりとして触れたり、原因不明の貧血の検査で発見されたりすることもあります。
左側大腸がんでは、比較的早期から便に血が混ざっていたり、血の塊が出たりする症状がみられます。管腔が狭く内容物も固まっているため、通過障害による腹痛、便が細くなる、残便感、便秘と下痢を繰り返すなどの症状が現れ、放っておけば完全に管腔がふさがって便もガスも出なくなり、腸閉塞と呼ばれる状態になります。
直腸がんでは左側大腸がんとほとんど同様の症状がみられますが、肛門に近いために痔と間違えられるような出血があり、痔と思われて放置されることもあります。また、直腸がんでは近接している膀胱や子宮に浸潤すると、排尿障害や血尿、膣から便が出たりするなどの症状がみられることもあります。

病気に気づいたらどうする

大腸がんは早期に発見できれば、そのほとんどが内視鏡的に、または外科的に根治可能な病気です。早期大腸がんの5年生存率は80%と極めてよく、進行がんでもがんの侵潤の程度とリンパ節転移の程度により予後が変わってきます。また、大腸がんは肝臓にいちばん転移しやすいのですが、肝臓に転移が見つかっても、肝臓を手術したり抗がん薬を注入したりして長期に生存することも可能です。
40歳を過ぎたら、症状がないうちに大腸がんの検診を受けるようにします。また、血便や便通異常などの症状がみられたら、すぐに専門医で検査を受けるようにします。

「大腸の主な病気」は、法研(2010)「六訂版 家庭医学大全科」より著作権者の許諾を得て一部改変して転載しています。

大腸の主な検査方法

  • 便潜血検査
  • 大腸内視鏡検査
  • 大腸CT検査
  • 大腸X線バリウム検査
  • 大腸カプセル内視鏡

それぞれの検査方法についての詳細はこちらをご覧ください。