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生活習慣と大腸疾患

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樋口和秀 先生
(大阪医科大学 内科学第二教室 教授)


int_1_img001「生活習慣」とは、毎日の食事や運動習慣、生活リズムなどを言いますが、これらの生活習慣と非常に関係深い病気が「生活習慣病」といわれます。「生活習慣病」は、はじめは加齢とともに発症・進行すると考えられていたため「成人病」と呼ばれていましたが、子供の頃からの生活習慣が基盤となって発症することがわかったため、「生活習慣病」と改められました。偏食、運動不足、喫煙、ストレスなど、ふだんの生活習慣が、発症や進行に深く関わっています。高血圧・脂質異常症・糖尿病・肥満が代表的なもの。これらは「死の四重奏」と呼ばれ、もちろん単独でも恐ろしい病気ですが、重複すると命にかかわる危険が増すのです。

一方、「大腸がん」は近年欧米諸国のみならず我が国でも急激に増加してきています。消化管のがんについては、もともと我が国は、胃がん大国といわれるぐらい胃がんの罹患率が高かったのですが、最近は胃がんを抜いて大腸がんの方が多くなっています。とくにがんによる死亡率では、女性では一位になってきました。最近のいろんな研究によれば、大腸がんの発生には、欧米型の食事摂取やそれによる肥満、運動不足などを背景とした生活習慣ががんのリスクを押し上げているとする疫学的な研究結果が数多く報告されています。「生活習慣」が、「肥満」を作り、その肥満が「大腸がん」のリスクになるということです。肥満には、2つのタイプがあります。皮膚のすぐ下に脂肪がたまる「皮下脂肪型肥満」と内臓のまわりに脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」。最近とくに問題視されているのは、内臓脂肪型です。内臓に過剰にたまった脂肪が、高血圧や脂質異常症などさまざまな病気をひきこしますが、「大腸がん」にも深い関係があると考えられているのです。内臓脂肪型肥満は皮下脂肪型肥満と違って、外見からもわかりにくいので要注意。ウエスト径(へそまわり)が男性で85cm以上、女性で90cm以上であれば、内臓脂肪型肥満を疑ってみてください。

「大腸がんの予防」は、特に肥満にならないように、運動不足にならにように気をつけることが第一です。なおかつ、食事は好き嫌いなくいろんなものをまんべんなく食べ、睡眠を十分にとって、適度な運動をするように心がけることです。喫煙はどのがんにもよくないので禁煙をお勧めします。ただ、これを守っていれば大腸がんにならないという保証はありません。リスクを少しでも下げる効果があるということです。「大腸がんで死亡しない大切な対策」は、検査を受けることです。「大腸がん」は、早期に発見すれば決して命を奪われるがんではありません。女性のがんでの死亡率の高さは、大腸がんの発見の遅さが大きな原因といわれています。それも、検診で便潜血反応が陽性で、内視鏡の検査の必要性を言われたにもかかわらず、検査が苦しそうとか恥ずかしいなどの理由でついつい躊躇してしまい、検査を受けるのが遅れてしまうというデータもあります。

できるだけ1年に1回、便潜血検査を受ける。そして、陽性と診断されれば、必ず大腸内視鏡検査(カプセル内視鏡※も含めて)を受ける。これが、大腸がんで命を落とさない“コツ”です。

※大腸カプセル内視鏡については、以下からご確認ください。

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■ 先生のプロフィール

樋口和秀 先生

大阪医科大学 内科学第二教室 教授
昭和56年3月:大阪市立大学医学部 卒業
昭和57年6月:大阪市立大学医学部附属病院臨床研修医
平成元年4月:大阪市立大学 助手(内科学第三教室)
平成10年7月:大阪市立大学 講師(内科学第三教室)
平成14年7月:大阪市立大学 助教授(消化器器官制御内科学/内視鏡部)
平成16年8月~11月:米国カリフォルニア大学アーバイン校客員助教授
平成19年5月~:現職(大阪医科大学第二内科教授)
平成21年6月~:大阪医科大学内科主任教授
平成22年4月~:大阪医科大学附属病院副院長

■ 専門分野

消化管疾患の病態生理、Helicobacter pylori、内視鏡的治療、カプセル内視鏡

■ 学会

日本内科学会 認定医・指導医・認定医制度審議会委員、日本消化器病学会 認定医・指導医・財団評議員・支部幹事、日本消化器内視鏡学会 認定医・認定専門医・指導医・支部幹事・専門医制度審査委員、日本消化管学会 理事、日本潰瘍学会 理事、日本カプセル内視鏡学会 理事・代議員、消化器免疫学会 理事・評議員、日本ヘリコバクター学会 評議員、日本門脈圧亢進症学会 評議員、日本食道学会 評議員

■ その他所属学会

米国消化器病学会、米国消化器内視鏡学会、American college of Gastroenterology、日本胃癌学会、日本炎症・再生学会、日本癌学会、日本癌治療学会